中学の頃、音楽のテストで語群の穴埋め問題があった。
( )の中に、語群のカタカナの記号を埋めていくという、ありがちな問題だ。
音楽のテストなんて心底どうでもよかった僕は、当てずっぽうで適当に回答を埋めた覚えがある。
その後、テストが返ってきて、答え合わせをする時、事件は起きた。
教壇の上で淡々と答え合わせをする音楽の先生に、突如クラスの女子が叫び声を上げた。
「先生!!この語群…!!私、気付いちゃったんだけど…!!」
クラス中がどよめいて、皆が一斉に回答に目を配る。
( )に埋められたカタカナの回答を、後ろから読んでみると、
“ソ ラ モ ト ヘ ル ハ ス”
「空も飛べるはず」。
当時、絶大な人気を誇っていたスピッツの名曲を、逆さまにもじって配列していた。
クラス中がどっと沸く中、音楽の先生は「ハイハイ、次行くよ~」というポーカーフェイスを決め込んだ。
クールだと思った。冷めていた僕も、これには震えた。音楽の先公も、なかなか気の利いたことをやる。
こういう、誰も気付かないように仕掛けられた罠に、僕は静かに戦慄する。
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