ハタチの頃に働いてたカフェで、僕にシェーカーの振り方を教えてくれた先輩がいた。
彼は僕の人生観に少なからず影響を与えた人物とも言える。
当時は25時に店を閉めてから、誰もいないフロアで自分達の好きな音楽をガンガンに鳴らしては、
店の酒をお構いなしにガブガブ飲んで酩酊(あるいは覚醒)していた。
思えばブルーキュラソーを沈めたウォッカトニックを思いついたのも、
女の子にバカ受けした氷づけの苺のカクテルを閃いたのも、その悪ふざけの時間だった。
その時の彼の名言に、こんなものがあった。
「人生をめちゃめちゃにしてやれよ」
わは。この人、あほやん。
そう思ったよね。
結局その先輩、そのカフェを辞めた後に友達と共同出資で自分のBarを出し、
その店が気道に乗ったら店を譲り渡し、今度は某大手携帯メーカーに就職、
そして30になった頃に前途洋々の会社を辞め、
最終的には「俺、お笑い芸人になる」って言い出した。
何とも。筋金入りのあほですね。まさかのドロップアウト。
でもなんかさ。なんか、あほすぎて格好良い。そう思うのは僕だけか?
それにひきかえ、今の僕。全然あほじゃない。
ただの威勢のいい八百屋の兄ちゃんだ。
トイレに行くと、鏡の前のシケた面をぶら下げた男と対峙する。
守りに入った男なんて格好悪くて仕方ない。
ふと思い出すよ。
あの日のノーゲスト。轟音で鳴らすミュージック。
気の抜けたシャンパンを飲みながら、僕がマイルス・デイビスのリミックスをかけると、
彼は爆音のブライアン・セッツァーで、そのクールな雰囲気をアウトローにぶち壊す。
悪くないひと時。二人で馬鹿みたいに酔っ払ってた時間。
不細工なくせにシェーカーの振り方だけは最高にクールで、その背中がどこか憧れだった。
エピチャン
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