エピチャン

2011/11/22

そうだ。僕たちは誰しもが千の夜を騙し続ける幸福な罪びとだ。
誰もが自分自身についた千の嘘をあばけずに、行き場のない焼却炉へと放り込んでいるよ。
涙を汲み忘れたフリをして笑顔を作る。誰も嘘を咎めない。

大脳皮質の表面でひとつ、またひとつと細胞が死ぬ音がするよ。
傷ついていくばかりの皮膜の途上で手をつないでいるよ。
ひとつになれるくらいならきっと、はじめからこの手のひらに接着剤がついていただろう。
我々はどこまで行っても、この皮膚の下にあるワインの澱(おり)のような孤独と生涯一蓮托生なのだ。

君の心臓を引っこ抜くわけにはいかない。
耳を澄ませば、それぞれの心臓が鳴りやまずに重なり合いながら、互いのベクトルをすれ違う。
ふたつの心音は不揃いで、スピードだって伸縮だって全然違う。
心臓に触れられない互いの隔たりをポジティブな人々は世界と名づけ、
そこで運良くめぐり会えた宙ぶらりんの僕らはセックスをする。今日が終わるその前に。

あと何秒間、この細胞が死にゆくのを見届けられるのだろう?
あと何秒間、この皮膜の途上で互いに生きていることを感じられるのだろう?

2011/11/20

大阪入り。

心斎橋、シャネルとルイ・ヴィトンが突き合わせる交差点を歩いている。
今日の心斎橋はねずみ色で、子ども達の服や女の子のバッグがところどころビビッドで目に付く。
さながら冬の配色をしている。
どこでついたか分からないタバコの臭いがする。鼻が利かないから奥歯で景色を噛み潰す。
かつて大阪に随分いたはずの友達とももう随分疎遠になり、もはや誰も思い浮かばない。
この街にもだいぶ土地勘があるのだが、相変わらず街中にホテルを取っては飲み歩くことしか能がない。

一人でいるときの自分は、自分でも驚くほど脳味噌が冷めている。
そこはまるでパン工場の大型冷凍庫みたいに冷酷で、危ぶまれる領域(テリトリー)だ。
もはや感情のありかが把握できない。
世界との調和をかろうじて取っている。ホテルに帰り、シャワーを浴びる。

2011/11/19

「何か」について饒舌に語りたい気分である。

2011/11/18

今日の言葉の賞味期限は今日まで。
明日の朝にはそれらはもう失われていて、もう二度と話すことができない。
待ったナシの今日。夜が終わる前に。

"全ては布キレの上に語り尽くした。付け加える言葉はなにもない"

昔、青山のコムデギャルソン本店に行ったとき、偶然にも川久保玲が店頭に立っているのを見かけて、
声をかけたことがある。
感想は、ハッキリ言って最悪。死ぬほど無愛想で、死ぬほど感じ悪かった。
でも、それでいい。デザイナーなら格好いい服を作ればそれでいい。
料理人なら美味いものを作ればそれでいい。美容師なら女の子をかわいく出来ればそれでいい。
能書きや解説や宣伝文句は聞きたくない。余計なことは語らないでいい。作品で勝負してほしい。
それを我々消費者が判断し、対価をつける。互いが納得すれば金銭を支払う。いわゆる等価交換だ。
それが公平な取引、僕の望む「買い物」である。

本当に一流の職人(クリエーター)というのは決まって、多くを語らない。
自分の生み出した作品こそが全てであり、彼等はそもそも言葉を信じていないからだ。
だから僕は今後、川久保玲を見かけても一切声をかけないだろう。

2011/11/17

社内の個人売上高がいつの間にか二位に転落していた。二位とかダサい。
ちょっと気が抜けている。今はとにかく仕事のストレスが半端じゃない。
そしてそのストレスと過労から生じているであろう腰痛が半端じゃない。
でもやるからにはブッチ切りで結果を叩き上げ続けなければならない。そうじゃないとどや顏できない。
ジレンマに陥る。

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"ひと滴(しずく)こぼした涙がほら 宇宙一小さな海をつくる"

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