エピチャン

2011/06/29


数年前、マリオ・ジャコメッリの写真展を見に行った。

彼の写真については鮮烈に記憶している。
記憶というのは脳神経細胞のニューロンがシナプスによって結合する状態らしいが、
あの白と黒のコントラストがどうやら僕のシナプスでガッチリとへばりついているらしい。
無彩色で表現される抑制された世界の中に僕は彼なりのカタルシスを感じた。
とある評論家はそれを「一瞬の中の永遠」などと評していた。
だいぶ胡散臭いなと思ったけど、言いたいことはわかる。
ジャコメッリはあの時も今も変わらずに僕を深く混沌とさせるのだけど、
ただ誰と見に行ったのかは全く覚えていない。確かに誰かいたと思うのだが。
どうやら僕のシナプスはその面倒な記憶だけを開放し、都合よく忘れてしまったらしい。

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