美人なのに飾らなくて、笑顔が明るくて、しかも同性からの人望が厚かった。
恐らく、人としての魅力が高いのだろう。
僕の通っていた高校は一学年1000人程のマンモス校だったが、その中でも一二を争うほどの有名人だった。
笑ったときに、鼻の付け根にきゅっと寄るシワがとても印象的だったのを覚えている。
僕は友人の繋がりもあって、東京で暮らしているときに偶然彼女に再会した。
寒い冬の夜に、彼女と下北沢の小さなカフェで飲んで、ラーメンを食べたことを覚えている。
僕は何かのきっかけで、彼女がブログをしているのを知った。
初めてそのブログを見たとき、僕は愕然とした。
そこには、普段の明るくて前向きで、飾らずに美しい彼女の姿はなかった。
暗く、鬱屈としていて、寂しげで、書いていることは悲壮感に満ちていた。
ブログの内容から察するに、彼女は「男」という存在をどこか恨んでいるようにも感じた。
あまりのギャップに信じられなかったけど、人間の表(リアル)と裏(ネット)を見た気がした。
ふと思い出して、彼女のブログを探してみたら、なんと今も細々と更新されていた。
相変わらず悲壮感が漂っていて、「もう東京にいる理由はない」等というネガティブな内容が書かれていた。
あの当時、僕達のマドンナだった彼女の姿はどこにもなかった。
僕はそっとブラウザを閉じた。何故かブログにコメントを残す気分にも、電話をする気分にもなれなかった。
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