僕の書いている文章や、僕の聴いている音楽が好きだという女の子がいた。
僕は、彼女に会うことにした。僕は割と、僕に会いたいと思ってくれる人には会う主義だ。
はじめて会ったのは、葛西臨海公園というところだった。僕ははじめて行く場所だった。
よく晴れた、風の強い日だった。彼女は準備していたトイカメラをリュックサックから取り出して、散歩しながらパシャパシャ撮った。
公園にいたペンギンの写真も撮った。僕のことも撮ったと思う(よく覚えていない)。そしてどこかの海岸でビールを飲んだ。
僕は彼女に、買ってきた赤いペンを渡した。
彼女には自傷行為の癖があった。だから、身体を切る代わりにこのペンで線を引きなよ、と言った。
彼女は「ありがとう」と言っていた。彼女はそのペンのことを、“命のペン”と呼んだ。
彼女とは、それからしばらく会わなかったが、後にとある場所で再会をすることになる。
続く
0 件のコメント:
コメントを投稿