エピチャン

2011/01/16

今夜、福岡は吹雪。
県北の田舎の方では、-5℃の予報が出てる。
-5℃。今すぐにでも冷蔵庫の中へ非難した方がいい。そんな気温だ。

僕はつらいとき、本を読む。
それはもはや誰かの文脈の中にしか逃げ道を見い出せないからだと思う。
或いは音楽の中へ逃げ込む。理由は同じだ。
読んでいた小説の中で、ヒロインが缶コーラを美味そうに飲んでいて、
僕はろくに何も食べてない癖にどうしてもソレが飲みたくなり、ふと缶コーラを買いに出た。

気温はもちろん、0℃を下回っている。
僕は寝巻きに素足でサンダルを突っ掛けた。靴下を履き忘れた。
外に出ると恐ろしく風が強く、身がすくんだ。
どこの家の庭の草木も、この吹雪の吹雪くままに白く凍り付いている。
フードを被って雪で覆われた歩道を歩く。誰もいない。
雪の結晶が僕の皮膚や衣類にまとわり付いている。

かじかむ手足の感覚が「痛い」を通り過ぎて「無い」になる。
向かい風が僕のフードを脱がす。
凍える寒さにブルブルと震える身体とは裏腹に、頭の中は次第にクリアになっていく。
悪くない感じだ。
その吹雪は轟々と鳴る風のボリュームとは対照的に、どこか平穏な静寂のようなものをしたためていて、
その真冬さながらの態(てい)に観念した僕は、正しい冬の洗礼に白旗を上げる。
僕の脳味噌はもう使い物になりません。

体調さえよければランニングシューズに履き替えてジョギングに出ただろう。
今は病み上がりで、身体すら言うことを利かない。お手上げだ。
暫く歩いたところで、自動販売機にお金を入れ、冷たい缶コーラを買う。
指先の感覚は無いまま、缶コーラのプルタブを開け、口に含んだ。

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